副業の確定申告はどうやる?必要なケースや経費について解説
2025.12.23(火)
副業を始めると、本業の収入に加えて新たな収入源が生まれます。
それに伴い、所得税の納税額を正しく計算し、国に申告するための「確定申告」が必要になる場合があります。
本業の企業で年末調整を受けているだけでは、副業分の税金計算が網羅されないためです。
この記事では、副業における確定申告の基本的な知識から具体的な手続き、経費の考え方まで、ビジネスパーソンが押さえておきたいポイントを分かりやすく解説します。
副業を始めたら知っておきたい確定申告の基本
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の合計額と、それに対する所得税の額を自分で計算し、税務署に申告・納税する手続きのことです。
ビジネスパーソンの場合、通常は企業が年末調整を行ってくれるため、個人で確定申告をする機会は少ないかもしれません。
しかし、副業で収入を得た場合は、本業の給与所得に加えて副業分の所得を合算し、改めて所得税を計算し直す必要があります。
この手続きによって、源泉徴収などで納め過ぎた税金が還付されたり、逆に不足分を追加で納付したりします。
副業を始めたビジネスパーソンにとって、確定申告は自身の所得と税金を正しく管理するための重要な手続きです。
副業の確定申告が必要になる所得のラインとは?
副業で確定申告が必要になるかどうかの判断基準は、本業の給与について年末調整を受けている給与所得者の場合、本業の給与所得以外の年間の所得が20万円を超えるかどうかです。
ここで重要なのは、「収入」ではなく「所得」で判断するという点です。
所得とは、副業で得た総収入から、その収入を得るためにかかった必要経費を差し引いた金額を指します。
例えば、副業の収入が30万円あっても、経費が15万円かかっていれば所得は15万円となり、原則として確定申告は不要です。
ただし、副業がアルバイトやパートなどの給与所得の場合、個別の経費を計上することはできず、給与所得控除が適用されるため、実務上は収入金額を基準に判断することが一般的です。
自身の副業がどの所得区分に該当するのかを理解し、正確に所得を計算することが大切です。
つまり、確定申告が必要かどうかは、年末調整されなかった給与収入(副業分など)と、給与所得以外の所得の合計が基準(20万円超)となりますので、収入・所得の区分を整理して判断しましょう。
所得が基準以下でも確定申告が必要・推奨されるケース
副業の所得が20万円以下であっても、確定申告が必要、あるいはした方が良いケースがあります。
例えば、医療費控除や寄付金控除、住宅ローン控除(1年目)などを受けたい場合です。
これらの控除は年末調整では対応できないため、確定申告を行うことで納めすぎた税金が戻ってくる可能性があります。
また、副業がアルバイトなどで給与として収入を得ており、源泉徴収がされている場合も確定申告をすることで還付を受けられることがあります。
さらに、本業の企業で年末調整を受けていない場合も、個人で確定申告が必要です。
所得が20万円以下だからと一律に判断せず、自身の状況に合わせて確定申告の要否を検討することが重要です。
確定申告が不要でも住民税の申告は必要な場合も
所得税の確定申告が不要な場合、つまり副業の所得が年間20万円以下であっても、住民税の申告は別途必要になる点に注意が必要です。
所得税の確定申告を行えば、その情報が自動的に市区町村にも共有されるため、住民税の申告を別途行う必要はありません。
しかし、確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村の役所に対して、副業で得た所得の申告が必要となる場合があります。
この申告を怠ると、本来納めるべき住民税が正しく計算されず、後から追加で納税を求められる可能性があるため、忘れずに行いましょう。
住民税の申告期間は、確定申告と同様に例年2月16日から3月15日までとされることが多いですが各自治体にご確認ください。
【3ステップ】副業における確定申告の進め方
副業の確定申告は、一見複雑に思えるかもしれませんが、手順を理解すればスムーズに進めることができます。
大まかな流れは、必要書類を準備し、確定申告書を作成して、税務署に提出するという3つのステップに分けられます。
期間は原則として、毎年2月16日から3月15日までです。
最近では、会計ソフトや国税庁のWebサイトなどを活用することで、比較的簡単に申告書を作成できるようになっているので、ビジネスパーソンであれば、これらのデジタルツールを使いこなすことで、効率的に確定申告を完了させることができるでしょう。
次の項目から、各ステップについて具体的に解説していきます。
STEP1:必要書類を準備する
確定申告を始めるにあたり、まずは必要な書類を揃えることから始めます。
主に以下の書類が必要となります。
- 本業の源泉徴収票:勤務先から年末に配布されます。
- 副業の収入や経費がわかる書類:支払調書や請求書、領収書などです。
- 各種控除証明書:生命保険料や地震保険料の控除証明書、医療費の領収書など、適用したい控除に関する書類です。
- マイナンバーカード:またはマイナンバーがわかる書類と本人確認書類が必要です。
これらの書類を事前に整理しておくことで、次の申告書作成のステップを円滑に進めることができます。
STEP2:確定申告書を作成する
必要書類が揃ったら、次に確定申告書を作成します。
作成方法はいくつか選択肢があります。
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用する:Webサイトの案内に従って入力するだけで、自動的に税額が計算され申告書が完成します。
- 会計ソフトを利用する:日々の収入や経費を入力しておけば、確定申告の時期に簡単な操作で申告書を作成できます。
- 税理士に依頼する:費用はかかりますが、専門家に任せることで正確かつ手間なく申告を完了できます。
特にITリテラシーの高いビジネスパーソンにとっては、国税庁のWebサイトや会計ソフトの利用が効率的でおすすめです。
STEP3:税務署に提出する
完成した確定申告書は、定められた期間内に税務署へ提出します。
提出方法には、主に以下の3つがあります。
- e-Tax(電子申告):インターネット経由で申告する方法です。マイナンバーカードと対応のスマートフォンまたはICカードリーダライタがあれば、自宅から提出が完了します。
- 郵送:所轄の税務署宛に、信書として郵送します。
- 税務署の窓口へ持参:所轄の税務署の受付に直接提出します。
最も手軽で時間もかからないのはe-Taxです。
ビジネスパーソンであれば、ぜひ電子申告を活用して、スマートに手続きを完了させましょう。
ビジネスパーソンが副業で経費にできるものの具体例
副業の所得を計算する上で、収入から差し引くことができる「必要経費」を正しく計上することは非常に重要です。
経費を漏れなく計上することで、課税対象となる所得を抑え、結果的に節税につながります。
特にIT系の副業では、業務に関連するさまざまな支出が経費として認められる可能性があります。
ここでは、ビジネスパーソンが副業で経費にできるものの具体的な例を、カテゴリーに分けて紹介します。
業務内容に直接関連するもの(PC、サーバー代など)
副業を行う上で、業務に直接必要な機材やツールの購入費用は経費として計上できます。
例えば、プログラミングやデザイン作業で使用するパソコンや周辺機器(モニター、キーボードなど)の購入費用がこれにあたります。
また、Webサイトやアプリケーション開発のためのサーバーレンタル代、ソフトウェアや有料ツールの利用料、インターネットのドメイン取得費用なども必要経費です。
これらの支出は、副業収入を得るために直接的に貢献しているため、経費として認められやすい項目と言えるでしょう。
スキルアップに関するもの(書籍代、セミナー参加費など)
副業に関連するスキルや知識を向上させるための費用も、経費として計上できる可能性があります。
IT業界は技術の進化が速いため、常に新しい情報をインプットし続けることが収入の維持・向上に不可欠です。
具体的には、プログラミングやマーケティングに関する専門書や技術書の購入代金、最新のトレンドを学ぶためのオンライン講座の受講料、業界のカンファレンスやセミナーへの参加費などが挙げられます。
これらの支出は、現在行っている副業の業務内容と直接関連している場合には、経費計上が認められる可能性があります。
自宅で仕事をする場合の一部経費(家賃、通信費など)
自宅を仕事場として副業を行っている場合、家賃や水道光熱費、インターネット通信費などの一部を経費として計上できます。
これを「家事按分(かじあんぶん)」と呼びます。
ポイントは、事業で使用している割合に応じて経費を算出することです。
例えば、家賃であれば仕事部屋が家全体に占める面積の割合、通信費であれば業務で使用した時間の割合など、合理的な基準でプライベート用と事業用を区別する必要があります。
日頃から、どのくらいの割合で業務利用しているかを記録しておくと良いでしょう。
税制上のメリットが大きい青色申告という選択肢
副業の確定申告では、まずその収入が「給与所得」「事業所得」「雑所得」のいずれに該当するかを判断します。このうち、事業として行っている副業が事業所得として申告できる場合には、「白色申告」と「青色申告」のいずれかを選択することが出来ます。
特に手続きをしなければ自動的に白色申告となりますが、事前に税務署へ「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出することで、青色申告を選択できます。
青色申告は、白色申告に比べて帳簿付けが複雑になるなどの手間はありますが、税制上の大きなメリットを受けられる制度です。
副業を単なるお小遣い稼ぎではなく、将来のキャリアを見据えた事業として捉えるならば、青色申告は非常に有効な選択肢となるでしょう。
次の項目では、青色申告の具体的なメリットと注意点について解説します。
青色申告で得られる主なメリット
青色申告を選択することで、主に以下のような税制上の優遇措置を受けられます。
- 青色申告特別控除:正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)で記帳し、電子申告(e-Tax)または電子帳簿保存を行うなどの要件を満たせば、最大65万円の所得控除が受けられます。これにより課税所得を大幅に圧縮できます。
- 赤字の繰り越し:副業で赤字(損失)が出た場合に、その赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺することが可能です。
- 家族への給与を経費にできる:生計を共にする家族に支払う給与を、一定の要件のもとで経費として計上できます。
これらのメリットは、副業の規模が大きくなるほど効果を発揮し、手元に残る資金を増やすことにつながります。
青色申告の注意点
多くのメリットがある青色申告ですが、いくつかの注意点も存在します。
まず、青色申告を始めるためには、原則としてその年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
新たに事業を開始した場合は、事業開始日から2ヶ月以内です。
最大のメリットである最大65万円の特別控除を受けるためには、「複式簿記」という正規の簿記の原則に従って帳簿を作成し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付しなければなりませんし、期限内に申告する、電子申告(e-tax)又は電子帳簿保存を行うなど一定の要件が必要になります。
これは白色申告の簡易な帳簿付けに比べて手間がかかるため、会計ソフトなどを活用して効率的に行うのが一般的です。
副業について本業の企業に通知されないための手続き
副業を行っていることを、本業の企業に知られたくないと考える方もいるでしょう。
確定申告をすると、住民税の金額が本業の給与と合算されて計算されるため、企業の給与担当者が住民税の金額の変動に気づく可能性があります。
これを避けるための手続きとして、確定申告書の第二表にある「住民税に関する事項」の欄で、住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れる方法があります。
これにより、副業分の住民税の納付書が自宅に直接送付され、本業の給与から天引き(特別徴収)されるリスクを下げることができます。
ただし、自治体によっては副業が給与所得の場合、普通徴収が認められないケースもあるため、お住まいの市区町村に事前に確認することをおすすめします。
副業の確定申告をしない場合の懸念点
副業で年間20万円を超える所得があるにもかかわらず、確定申告を怠った場合、いくつかのペナルティが課される可能性があります。
税務署の調査などで申告漏れが発覚すると、本来納めるべきだった税金に加えて、「無申告加算税」や「延滞税」といった追徴課税が発生します。
無申告加算税は、納付すべき税額に対して一定の割合で課されるもので、税務調査の事前通知後に自主的に申告した場合でも課税される可能性があります。
延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて課される利息のようなものです。
これらのペナルティは金銭的な負担を増やすだけでなく、自身の信用にも関わる可能性があるため、申告義務がある場合は必ず期限内に正しく申告しましょう。
確定申告を理解して、副業でキャリアの可能性を広げよう
本記事では、副業を始めたビジネスパーソンが知っておくべき確定申告の基本から、具体的な手続き、経費の考え方、そして所得控除が受けられる青色申告までを解説しました。
確定申告は、一見すると複雑で手間がかかるように感じるかもしれません。
しかし、自身の収入と支出を正確に把握し、納税の義務を果たすことは、社会人としての信頼性を高め、安心して副業に取り組むための土台となります。
この記事を参考に、確定申告への理解を深め、自身のキャリアの可能性をさらに広げていきましょう。
日本のキャリアSNS YOUTRUSTでは、200以上の職種から自身のキャリアビルディングにつながる副業を探すことができます。
30秒で簡単にプロフィール登録できますので、これから副業を始めたいとお考えの方はぜひご利用ください。

税理士・高橋 通彰(たかはし みちあき)
高橋通彰税理士事務所








